第2回ゆう志の会 レポート
| のぶこ 2003.10.10 |
| 平成15年10月6日火曜日、四谷の紀尾井・小ホールにて第二回ゆう志の会は行なわれました。<邦楽に志をもつ者の集い>という意味を持つ“ゆう志の会”なので、長唄や琵琶語り、そして山田さん出演の江戸川乱歩原作・黒蜥蜴と番組は多彩です。 昼の部は午後2時開演で、30分前にはロビーにファンの人達は集まっていました。目印は赤い薔薇。アクセサリーに、花束に、色々な赤い薔薇を持ちよりました。花束は受付に預けなければならず、メッセージカードを何枚か添えて預けました。 番組の最初は長唄・あたま山。あたまに樹がはえてしまった人のお話です。唄う人、三味線を弾く人、笛をふく人、鳴物(太鼓や効果音)担当の人達によって、話しが進みます。頭にはえた樹を抜く時の効果音は、紙筒(賞状などをいれる黒い紙の筒)の蓋をスポーンと抜く事で出していました。邦楽をより親しんでもらおうと、“何でだろー♪”や“ゲッツ”などの台詞もありました。面白い話なのですが、始終自分の頭の上が気になって仕方がありませんでした。続いて琵琶語り・敦盛。平家の敦盛が討たれてしまう話を、ただ一人琵琶奏者が語ります。生まれて初めて琵琶の演奏を聞きました。台詞も状況説明も演奏も一人でこなしてしまうので凄いと思いました。 黒蜥蜴の始まる前に15分ばかり休憩がありました。気もそぞろです。どんな黒蜥蜴なのか、どんな山田さんを見ることが出来るのか、想像は膨らみます。幕が上がると、舞台左側に山田さんはいました。今回の演出では、長唄が情景を説明し、琵琶が黒蜥蜴の動きをあらわし、俳優は演技のない台詞をするという、少し変わったものでした。また壁にはスライドがあり、少しでも話しの状況が把握しやすいようになっていました。中央には琵琶奏者、長唄の唄い手や三味線奏者、鳴物の人達は右側、俳優陣は左側と決まったところにいるので、山田さんの姿を追う必要はなく、まさに“かぶりつき”状態で見る事が出来ました。ただ山田さんの前には机があり、舞台に登場しない時は椅子に座ってしまうので、最前列に座っていた私のところからは、机が邪魔で、頭のほんの上しか見る事が出来ませんでした。 お話は黒蜥蜴を捕まえようと、明智探偵が神社で願懸けをする場面から始まります。そう、山田さん扮する明智探偵が一番最初に登場するのです! 登場時の音楽はモダンジャス風。三味線と鳴物さん達の指が絶妙で、登場の瞬間を計るかのように、山田さんの頭は音楽にのっていたように見えました。神社にいたモズに明智探偵は願懸けするのですが、それを嘲笑うかのように、「小鳥に願懸けするような奴に、黒蜥蜴は捕まえられるものか」と琵琶が黒蜥蜴の心情をうたいます。しかし、鵺を退治した源さんに習って見事黒蜥蜴を捕まえられますように、とカッコ好く山田さん言い放つのです。こころなしか、昼の部では、ここの台詞を噛んでいたように聞こえました…。次の場面で、黒蜥蜴に狙われている早苗さん(神津はづきさん)と、その父親にして富豪美術商・岩瀬氏(文学座の加藤武さん)が明智探偵に早苗さんの警護を依頼します。今回、ホテルでの商談相手の緑川夫人(中村メイコさん)、天下の名探偵の明智探偵を目ざとく見つけて話し掛けます。それに対し、持ち前の推理で明智探偵は言います。「あなたは私を好いている」そりゃ緑川夫人でなくても、山田さん扮する明智探偵は好きですが、どこからこんな自信満々な台詞が…。けれど緑川夫人、黒蜥蜴との対決に賭けをしようと言うのです。黒蜥蜴が明智探偵に捕まってしまったら、緑川夫人の持つ宝石をすべて明智探偵に差し出す。でも、黒蜥蜴が見事早苗さんを誘拐出来たら、すなわち緑川夫人が賭けに勝ったら、明智探偵は廃業する。美しい早苗さんを剥製にするため、黒蜥蜴は早苗さんを狙うのだという緑川婦人に、黒蜥蜴を捕まえる自分は美しい、そう明智探偵は反論します。そして、正しく美しくあるために、明智探偵はこの賭けにのります。正しい事と美しい事がどうして明智探偵に必要なのかよく分かりません。山田さん扮する明智探偵はもう充分美しいですもの。さて「今夜十二時に注意せよ」の犯行予告に備えて、早苗さんの隣室でポーカーを緑川夫人としたり、リボルバーを磨いたりして明智探偵は警備を続けます。リボルバーの解説も明智探偵は、さらりとしてしまいます。早苗さんの部屋の入り口には鍵が、窓には錠がつけられ、どこからも入る隙はないのです。12時もまわったところで、明智探偵、とってもうれしそうに勝利の声をあげます。しかし緑川夫人が「黒蜥蜴は妖術を使ってすでに早苗さんを誘拐している」と言います。見てみると早苗さんが寝ていたと思っていたベッドには般若の面が! お面の番なら小学生でも出来るわ!と岩瀬氏は怒りだし、明智探偵は部屋を飛び出してしまいます。賭けに負け、尻尾をまいて逃げたと思いきや、早苗さんと共に明智探偵は帰ってきました。さすが名探偵、早苗さんを入れた大きなトランクが、ホテルから出てきたのを部下に尾行させていたのです。12時前に早苗さんは誘拐されていた事、そして、黒蜥蜴は皆の目の前にいると名探偵は断言します。そう、緑川夫人が黒蜥蜴だったのです。これで黒蜥蜴捕まってしまうのか、と思ったら、明智探偵の胸からリボルバーをすりとっていました。「スリの手口くらい勉強しておきな」とリボルバーを早苗に突きつけて緑川夫人、いや黒蜥蜴は脅します。これを真に受けて山田さん、スリの手口を勉強しては困ります。 明智探偵と岩瀬氏を部屋に閉じ込め、黒蜥蜴と早苗さんが着いたのは見るからに怪しげな船。単なる船ではなく、黒蜥蜴の工作船でした。早苗さんはマンギョンボン号?などと聞きますが、黒蜥蜴はその時代に北朝鮮はありません、と真面目に答えたりします。船の中で幽霊騒ぎや鶏が一羽いなくなる事があり、船の中の探索が行われます。幽霊騒ぎ、と聞いて早苗は明智探偵が助けに来たと思い、黒蜥蜴に強がります。そしてついに最後に探していない黒蜥蜴の部屋に、明智探偵を見つけます。人がいる気配がするのは長椅子の中。くぐもった声で明智探偵は「入るために中身をくりぬいたので、あとで弁償しましょう」などというのですが、これはあまりカッコ良いものではありません。黒蜥蜴にグルグル巻きのすまきにされて長椅子は海にほうり込まれてしまったのです。ああ、明智探偵…。長椅子を放り込んだ海に黒蜥蜴はつぶやきます。明智探偵と言えども自分とは釣り合わなかった、と。手下の松吉が黒蜥蜴の元へやってきます。登場したその姿をスライドで見せてくれるのですが、右目に黒い眼帯と八の字のちょび髭をつけているけれど、その姿は山田さん…。そんな姿でもカッコ良く見惚れてしまうのに、何故か会場からは笑いが。松吉の声がダミ声だからでしょうか。声とわずかな身振りで明智探偵と松吉を見事に演じ分けていました。“夢みる葡萄”では末吉役を演じて、吉には縁があるのでしょうか、山田さん。でもお正月に凶を2回続けて引いた事もありましたね…。 黒蜥蜴と早苗さん、そして松吉は黒蜥蜴の剥製美術館にたどり着きます。ここでいよいよ黒蜥蜴は早苗を剥製にしようとするのです。剥製になったあとも、明智探偵を信じていればいいと言い、松吉に早苗を牢屋へ連れて行くように黒蜥蜴は命じます。しかし、松吉は持っていたリボルバーを早苗ではなく、黒蜥蜴に向けます。血迷ったか、と叫ぶ黒蜥蜴のまえで、ひげを、眼帯を次々ととって明智探偵が姿をあらわします。実は長椅子にいたのは気絶させられた松吉で、明智探偵はその長椅子の隣にあった大きな衣装棚に隠れていたのです。変装の名人は黒蜥蜴だけではなかったのです。あっぱれ名探偵明智!! もう、かっこいい以外何も出てきません。これだけかっこよければ、そして演じ分けが見事なら、テレビドラマで探偵モノとして充分に放映出来ます!! 黒蜥蜴は手下達をよびますが、明智探偵はすでに船から無線で連絡をつけ、警察は手下達を逮捕していたのです。もう逃げられないと思った黒蜥蜴は薬を飲んで死のうとします。明智探偵と一緒に剥製になりたかったと言いながら。明智探偵に緑川夫人と呼ばれ、見守られながら黒蜥蜴は最後の時を迎えました。こうして緑川夫人、いや黒蜥蜴の持っていた宝石は元の持ち主に返されました。 これでお話は終わり、再び幕があがると俳優は3人しかいませんでした。右端に立つ明智探偵は説明します。黒蜥蜴は死んだので、もう皆様の前には姿を表わしません、と。そして拍手が続く中、幕が下りていきました。その拍手を遮るかのように、黒蜥蜴の笑い声が後ろから聞こえてきました。「蜥蜴はね、尻尾を何度でも切り落として生まれ変わるのよ!」と、死んだと思った黒蜥蜴が言うのです。あんなにいい男の明智探偵に会えるなら、何度でも蘇ってきそうな黒蜥蜴でした。舞台では机が邪魔で見えなかった衣装も、最後の挨拶ではよく見えました。山田さんは喪服姿の貫太みたいな黒い背広で、靴はピカピカでした。カフスボタンのついたワイシャツを中に着ていました。驚いたのは、岩瀬さんを演じた加藤さん、なんと靴は履いておらず靴下姿でした。 夜の部では最後の挨拶時に「純大さーん」の声かけがあり、山田さんは口を少し開けてにっこり笑ってくれました。その隣にたつ中村メイコさんが、肘で山田さんをつついて“あなたのファンが来ているじゃないの”と言ったような気がしました。 昼の部が終わり、夜の部が始まる2時間ばかりのあいだ、近くのホテルでプチオフ会が開かれました。もちろん話は山田さんのことばかり。“貫太ですッ!”のクランクアップを見た時の事や、昔から山田さんを見ている人の、作品別お勧め話など、時間はいくらあっても足りませんでした。 夜の部のチケットを譲っていただけたので、私は2回舞台を見る事が出来ました。予定では昼の部を見たら帰るつもりだったのです。「山田純大ちゃんのファンなんでしょ、帰らないといけないから、このチケットで純大ちゃんを見てやってちょうだい」という親切なおばさまにチケットを譲っていただけて、大変運が良かったです。 昼の部と夜の部を見終えて、「楽屋出、待ちますよね」の一言から、私たちは楽屋出口で待っていました。山田さんが乗っていると思われる車が見えた瞬間から、やっぱり舞い上がってしまいました。気づけば車道に出ようとした車を取り囲み、必死で写真を撮ろうとしたり、握手しようとしたり、声をかけようとしたのです。 普通なら忙しい芸能人、車の中から手を振るだけで去っていくのですが、なんと山田さんは「車を止めるから」と言われたのち、車をおりて、「時間がないから、皆で写真を撮りましょう」と、車道と歩道との間にあった花壇(幅90cm?)を跨いで(やっぱり足、長いですね)、わざわざ歩道まで来て写真を一緒に撮ってくれたのです!! 凄い幸せ、でありました。この写真撮影で、山田さんに肩を抱かれたもっと幸せ者もいます。さらにこの後、数人は山田さんと握手までして、しばらく山田さんの残り香を嗅いでいた事は言うまでもありません。急ぐように写真を撮ったにもかかわらず、始終笑顔で嫌な顔もせず、さらに、車に乗り込む際には両手を膝につけて挨拶され、そして車からは「気をつけてお帰り下さい」とまで言われてしまって、ますます山田さんに惚れてしまいました!! 大変興奮しすぎたので、「山田純大応援サイトを見て来ました」、「今日の舞台最高でした!!」、「撮影頑張って下さい」など色々言うのを皆で忘れておりました。その興奮をまだ分かち合いたかったので、その後新宿で祝杯をあげました。山田さんに出会えたこと、そのファンとも語り合えたのが嬉しかったのです。 了 |